妊娠に不可欠な精子のしくみ

赤ちゃんが誕生するためには、お父さんの精子とお母さんの卵子が必要です。
人間の精子は、核と先体がある「頭部」、それに付いている「中片部」、しっぽのように細長い「尾部」の3つで主に成り立っています。

おたまじゃくしの頭に似た頭部は、内部に核をしまっており、核にお父さんの遺伝情報が入っています。
頭の先のような先体は、精子を守るヘルメットのようになっていて、これが外されると酵素を出すことができます。
酵素が出るのは、卵子を目前にしたときです。
卵子をおおっている膜は、この酵素により溶けるので、卵子の中に入り込むことを可能にしてくれます。

中片部は頭部と尾部の真ん中にあり、ここにミトコンドリアがあります。
このミトコンドリアは精子のエネルギーを生成しており、このパワーが尾部に届くと稼働して、前進できるという仕組みです。

人間の視力では見えないほど精子の全長は小さく、0.05mmのおよそ50μm(マイクロメートル)という大きさです。
精子は、受精することによってお父さんのDNA情報を卵子に届けてくれるという、大切な役割を持っています。

父親のDNA情報を卵子まで運ぶために、射精後の精子は膣の中を10時間以上も泳ぎ続けることになります。
最短距離で到達できる場合でも、およそ17cmあります。
17cmというと短いように思われるでしょうが、人に置き換えると6km近い距離にあたるということです。

膣内を泳ぐ環境は決して順調なものではないので、なかなか卵子まで泳ぎきる精子は少ないことから、不妊症の状態が生じるわけですね。

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