女性の側に不妊の原因がある場合には、排卵や着床がうまくいかないケースが多くみられます。
卵巣内には原始卵胞と呼ばれるたまごのたまごが数多く収められています。
この卵胞はあとから製造されることはなく、どんどん減っていくだけです。
眠っている卵胞の中から目を覚ましたものが成熟していき、いちばん熟した卵子が殻を破って飛び出してきます。
これが排卵と呼ばれる仕組みです。
この排卵がうまくいかないことが不妊症の原因のひとつとなっているのです。
また、子宮内での着床がうまくいかないケースもみられています。
排卵がうまくいって精子と出会い、ドッキングが成功すればめでたく受精です。
しかしその受精した胚芽が子宮内に着床できないのです。
子宮内膜の厚みが十分でなければ着床できない可能性があるのです。
こうしたホルモンバランスの問題を薬で治療していく方法があります。
排卵誘発剤
排卵を促していくホルモン治療として、性腺刺激ホルモン放出ホルモンの分泌を促進させる排卵誘発剤を用いることがあります。
また卵巣に直接働きかけて卵胞細胞の成長や成熟を促進させるホルモン治療もあります。
強力な薬剤の例に漏れず、こうしたホルモン治療も副作用には注意が必要です。
副作用でよく起こるのが多胎妊娠です。
つまり双子や三つ子といった複数の子どもを妊娠してしまいがちなのです。
また卵巣過剰刺激症候群を引き起こしてしまう可能性もあります。
黄体ホルモン療法
子宮内膜の成長に問題があって十分な厚みが得られない場合には、しっかりと精子と卵子が受精してもその胚が着床できない現象もみられます。
こうした問題を克服するのに黄体ホルモン療法がとられることもあります。
いわばベビーベッドに布団が敷かれていないのに似ています。
子宮の内側の壁である内膜は卵胞ホルモンと黄体ホルモンによって月経直後から形成されていきます。
約28日後に妊娠していないと、これが月経となって剥がれ落ち、体外へ出されていくのです。
子宮内膜が10mmほどあれば十分なようですが、6mm以下となると着床障害を引き起こす可能性が高くなります。
卵巣から排卵された卵子は卵管内で受精し、細胞分裂を繰り返しながらだんだんと子宮方面へと降りてきます。
受精5日目から7日目くらいが子宮内膜に着床する時期になるのですが、このタイミングで子宮内膜が十分厚みを持っていないと着床できず胚は成長できなくなってしまうのです。
こうした場合に黄体ホルモン剤などで子宮内膜が厚く育つよう促していくのです。