ほかの病気と同じく、だれもなりたくて不妊症になる人はいません。
みんな、元気なかわいい子どもをこの腕に抱く姿を夢見て結婚するものです。
いい夫に恵まれ、いい家族にも恵まれ、あとはどんな子が生まれてくるのかな、と楽しみにしていたところ、なかなか妊娠しないとだんだん不安になってくるものです。
不妊治療をするにあたっては、不妊症になる原因を知っておくことが重要です。
原因がわかれば、対処の仕方もみえてくるからです。
妊娠の条件
妊娠は男女双方の共同作業です。
原因が片方の場合もあれば、双方の場合も考えられます。
妊娠に成功するには6つの条件がそろっている必要があります。
1.卵巣機能や排卵機能が正常に働いて、受精能力のある卵子が排卵される
2.受精能力のある精子が正常に製造される
3.受精能力のある精子が排精される
4.精子と卵子が正常に受精できる
5.受精卵が胎盤に着床して、胎児の育成が始まる
6.男女相互の免疫機能の適合性
不妊で悩んでいるご夫婦の多くが、この条件のすくなくとも2つに当てはまることが多いのです。
女性不妊症
不妊の原因が妻の側にあるケースを女性不妊症といいます。
排卵障害や無排卵月経、卵巣機能低下、骨盤腹膜炎、子宮筋腫、子宮内膜症、チョコレートのう胞といった病気は、不妊の原因となりかねません。
正常な卵子を製造できない。
製造された卵子を排卵できない。
受精した受精卵が着床できない。
こうした問題が不妊となりうるのです。
男性不妊症
不妊の原因が夫の側にあるケースを男性不妊症といいます。
造精機能障害や乏精子症、精子無力症、無精子症、勃起不全、射精障害といった病気は不妊につながっていきます。
正常で元気な精子を製造できない。
製造された精子を膣内に送り込めない。
送り込んだ精子の元気がなく、卵子までたどり着けない。
こんな原因で不妊になっているのかもしれません。
免疫性不妊
また、普通ならウイルスや細菌からからだを守る免疫機能が精子を異物と判断してしまう免疫性不妊という症状もみられます。
男性にも女性にも起こる可能性があります。
一度免疫機能が精子を異物と判断してしまうと、精子を動けなくしてしまう精子不動化抗体や精子を固めてしまう精子凝集抗体を作り出し、元気な精子を無力化してしまうのです。
不妊で悩んでいる場合には、まずはどうして妊娠できないのかという原因を突き止めることが先決でしょう。